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zoom RSS 【書評】新しい幸福論〜「リーダーシップでいちばん大切なこと」

<<   作成日時 : 2011/03/28 19:22   >>

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タイトルをつけるのが難しい本だ。最初から最後まで首尾一貫リーダーシップについて書いてある本だが、これはリーダーシップの本ではない。もう少し正確に言うと、新しい「リーダーシップ」が定義されてしまっているため、「リーダーシップ」という言葉で趣旨を伝えることが難しい。


リーダーシップでいちばん大切なこと
日本能率協会マネジメントセンター
酒井 穣

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では本書は何の本か。それは、人が幸せになるためにはリーダーシップが必要だという、酒井さんによる新しい「個人の幸福論」だと思う。

本書の構成は、1)「リーダーシップとは何か」、2)「リーダーシップなしには生きられない時代」、3)「本物のリーダーシップを学習する方法」、の3部構成になっており、リーダーになりたい人がその方法を学ぶための本というたてつけに見える。しかしながら、酒井さんからの反論を恐れず言えば、この本は第1部の「リーダーシップとは何か」の定義、そして各章の合間に挟まれる6人のリーダーの紹介(+巻末の(株)ジェイド代表保田さんのコメント)につきる。

なぜなら、第1部+7人の価値観に触れてピンと来ない人には、第2部・第3部を読んでも「ふーん」で終わってしまい、知識を得るよりも先には進めないと思うからだ。

僕は以前からよく書いているように、リーダーというのはゼロから育てることはできず、リーダーの素質がある人がより本当のリーダーに近づいていくことしかできないと思っている。そして本書では、これまでのリーダーシップの概念とは一味違う切り口で、リーダーシップとは「個人の能力的優秀さとは関係なく」、「孤独を受け入れ、他の誰でもない、自分自身の人生を誠実に生きること」であると定義している。つまり僕は、「個人の幸福論」という視点からのリーダーシップの定義・解説と7人の価値観に触れて、自分自身が幸福を得るためのリーダーシップに思いを馳せられなければ、2部以降を読んでもリーダーに近づくことは難しいのではないかと考えているわけだ。

繰り返すと、本書は「個人の幸福論としてのリーダーシップ」という酒井さんの「視座」にチェックインし、これからの世の中を明るくする若きリーダーたちの人生に触れ、自分自身が歩む道に必要なコンパスを手に入れることを目的とした、これからのリーダーのキュレーション本なのだ。その「視座」に共感できなければ、その先のリーダーシップの必要性や学習方法についての章は期待通りに機能しないのだ。

さて、その第1部の内容についてだが、僕個人の考え方と照らし合わせてみると、僕がいつもぼんやりと考えていたことがくっきりと整理され、思わずニヤッとしてしまう内容だ。

以前から、僕がMBAに行った目的は経営を学ぶことでも人脈を作ることでもないと書いてきた。じゃあ何なの?と聞かれたときに、僕はいつも「自分自身が判断するためのプリンシプルを磨き上げるため」と答えてきている。様々な経営課題、あるいはグローバルな課題に対して、世界中から集まった多様な価値観を持つ学生とぶつかり合うことで、単なる「べき論」ではない、自分自身の心の声に従って物事をジャッジできるための訓練という意味だ。そのために、アメリカのMBAではなく、人種・業界のバックグラウンドが最も多様だと感じたOxfordを選んだ。

本書では、人の感情や価値観を基本的情動(先天的な感情)と2次的情動(社会による教育=同調圧力によって得られた後天的な価値観や思い込み)という二つの感情・価値観に整理し、リーダーシップを得るとはこの2つを近づけていくプロセスであると説く。

ああそうか、僕がMBAに期待していたのは、本書が定義するところのリーダーシップ獲得のためだったのだと強く納得した思いだ。安易なあるべき論に逃げず、常識を疑い、内面の声を聞き、自分らしさを獲得していくプロセス。MBAはリーダーシップ、つまり自分らしい価値観どおりに行動する力、を得るためのプロセスだったのだ。

Oxfordでの1年間の最後、イギリスで出会ったブラストビートという社会起業を日本に持っていこうとしたまさに最初、ブラストビートの行動指針としてこんなことを書いた。
「自分の行動に迷いが出た時は『どっちの判断がよりかっこいいか』を考えよう。どっちが得か、どっちが正しいかではなく、どっちが『かっこいい』か。自分の心の声に正面から向き合い、外見だけじゃなく内面も本当にかっこいい、高校生にとってのロールモデルに自らがなろう。」

あまり本書の内容を紹介するとネタばれに過ぎてしまうが、本書の「価値観のピラミッド論」とのシンクロ具合に思わず笑ってしまうほどだ。同じく第1部の「同じ人とつきあってはいけない」論についても、「NPO二枚目の名刺」を始めようとした際の僕の考え方と共通点が多い。

なんだか、この本を書ける酒井さんと書けない僕との才能の彼我の差をかえって思い知らされるようだ(笑)

本書について惜しむらくは、ここで紹介される6人がリーダーシップを獲得していくプロセスについて、もっと「生々しさ」が欲しかったことだろうか。

なかなか難しい問いだとは思う。ここで酒井さんが表現したかったことは、最初から天才だった人ではなく一見「普通」の人が徐々にリーダーシップを獲得していく姿を描きたかったのだろうが、どうしても一度リーダーとして才能を発揮するようになると、その過去の「普通」を表現するのが難しい。多くの読者はこの6人についてついつい「特別な人」としてみてしまうのではないかと思う。

著者の酒井さんも含めて本書に登場する8人の方の大半と個人的に仲良くさせていただいている立場にあるがゆえに、彼らがどうやって同調圧力・外発的価値観を撥ね退け内発的価値観を育てたのか、小さな好きなこと・やりたいことをつみあげながら今の居場所に到達したのか、そのプロセスをもっと読者に伝えられればと思うのは、ちょっと贅沢すぎる要望だろうか。

いずれにせよ、手にとって損はない良本である。今のような、震災直後で多くの方が自分の人生・価値観を意識的・無意識的に見直しているタイミングだからこそ、多くの方に読んでいただきたい。ショッキングな事件に直面し新しい価値観が自身の中に芽生えてきたと感じたとしても、実は必ずしもその全てが「基本的情動・内発的価値観」とは限らないと思う。むしろ情報の洪水の中で世の中の「こうあるべき論」に流されてしまう人も少なくないはず。だからこそ、この本を読んで、1人1人が自分の基本的情動と2次的情動との相互学習を繰り返し、自分なりのリーダーシップを発揮して、幸せな人生を手に入れて欲しい。

幸せな人生を手に入れ、周りにも「生きる力」を与えていく、そんなリーダーに溢れる世の中。多くの人がこの本を手にして、そんな世の中に一歩近づくといいなと思う。

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レスありがとう。詳細はこれですd(´∀`*)グッ$ http://e29.mobi/
私だ
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2011/12/30 13:12

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