遅咲きの狂い咲き

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zoom RSS Beatlesを君に −その5−

<<   作成日時 : 2010/11/29 00:53   >>

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Beatlesを君に。全10曲のうちのラスト2曲。

Blackbird (1968)

2枚組の大作「The Beatles」(通称「White Album」)に収められたPaulのシンプルで爽やかなバラード。

White Albumは、一言で言ってしまえば、ソロの曲の集合体だ。Johnとそのバックバンド、Paulとそのバックバンド、Georgeとそのバックバンド。。。。メンバーが仲違いし、RingoやGeorgeの脱退騒動でも揺れたこの時期、ほとんどの曲が4人集まることなくレコーディングされている。故に、かつてないほどコンセプトがバラバラのとっちらかったアルバムだ。しかも2枚組、30曲。とても、Sgt.PeppersとMagical Mystery Tourという完璧なコンセプトアルバムを出した翌年のアルバムだとは思えない。こうも簡単に過去のサウンドを捨てることができるものなのか。

当時、このアルバムの評価はすこぶる低かったらしい。だが、僕はこのアルバムがBeatlesの最高傑作だと思っている。いや、Beatlesに限らず、あらゆるアルバムの中から無人島にもっていく1枚を選べと言われれば、これだ。

ロック、レゲエ、ソウル、ブルース、フォーク、カントリー、ポップス、へヴィーメタル、さらにはアヴァンギャルドと、ありとあらゆる音楽的要素を含むアルバム。JohnとPaulの、自尊心、嫉妬心、エゴなど、様々な感情がほとばしり、ぶつかっている。結果、どこまでも個性的な名曲の宝庫になっている。

一般的に、僕は2枚組のアルバムというのはどうも散漫とし、曲のクオリティーも低下し、あまり好きになれないことが多い。おそらく過去好きになった2枚組アルバムはひとつもない。唯一、White Albumを除いて。

Sgt.Peppersのように交響楽を取り入れたコンセプトアルバムは、その後ある種のフォーマットとして定着した感もあるが、White Albumのようなとっちらかった2枚組で、かつ名曲ぞろいというのは、ロック史上誰も成し遂げていない快挙ではないだろうか。

White Albumのサウンド面の特徴は、極めてシンプルなサウンドの曲が多いことだ。アレンジがどれもミニマム。4人集まっていないからか、ギターだけのシンプルな演奏のバラードも多い。名曲ぞろいのこのアルバム、好きな曲をあげたらキリがないのでやめておこう。(僕のiTunesの再生回数は、トップのTomorrow Never Knowsを除き、上位はほとんどこのアルバムで占められている。。。)

そんな中で、もっともシンプルで美しいバラードが、このBlackbirdだ。

Paulはやはり天才なのだろう。歌がうまいとかそういう話ではなく、聴いた瞬間にPaulの曲だと誰もがわかる。どこかで聴いたことのあるような、誰でも作れそうな、それでいて実際はPaul以外には絶対に書けない、誰の心にもすっと入ってくる完成度の高いメロディー。アレンジで使う楽器の選択も時に実験的だが、聴いてみるとその楽器しかありえなかったと誰もが思うほど自然にフィットする。

鳥や自然の歌というよりも、Black=黒人、bird=英国英語で女の子なので、当時の公民権運動やウーマンリブを意識した曲ではないかと思うのだが、そんな解釈はどうでもよいと思わせる、美しい曲。アレンジは鳥のさえずり音と足を踏みならすリズムだけだが、これがまた完璧すぎる。

Paulの魅力が最も発揮された1曲。




Golden Slumbers (1969)
Carry That Weight (1969)
The End (1969)


「実質的に」ラストアルバムである「Abbey Road」の最後を飾る、つまりBeatlesとしての最後を飾る3曲のメドレーだ。(好きな10曲を選ぶといいながらここで3曲を1曲として扱うのはご容赦されたし(笑)。なお、厳密にはこの曲のあとにHer Majestyという極短い曲がおさめられている)

White Album後、崩壊の危機にあったBeatlesは、原点に戻ろうと「Get Back」という名のアルバムを一旦は作成した。しかし、他人に完成を託したそのアルバムは、結局本人たちがボツにしてしまった。そんな悲惨な結果を打ち消すため、Beatlesとしての「有終の美」を飾るため、再度4人が集まって作られたアルバム。それがAbbey Roadだ。

Abbey Roadは恐ろしいほど完成度が高く、その一方でものすごく空虚なアルバムだ。

Johnの趣味が発揮され、またGeorgeの2大名曲、SomethingとHere Comes The Sunが出てくるアルバムの前半は、曲の特徴が際立っていて素晴らしい出来上がりだ。一方でアルバム後半は、過去に曲にしようとしたが完成しなかった未完成の曲の断片を、Beatles流の超一流のアレンジ力でつなぎ合わせて、曲に仕立て上げている。2回のメドレーが出てくるがそれは短い断片を無理やりつなぎ合わせたものだし、独立した曲も、よくよく聴いてみると全然違う曲をたくさんつないでできているだけだ。このアルバムを駄作という人は、このあたりを理由にあげる。

それでも、タイトな演奏や質の高いヴォーカルハーモニーは、有終の美を飾るには相応しい出来だ。ここにはWhite Albumにあったようなむき出しのエゴはなく、お互いに妥協したメンバーが生み出すサウンドが空虚に、しかしながら美しく存在している。これは、消えゆくBeatlesが、かつてのBeatlesの栄光を再現して演じているアルバム、と言えるかもしれない。

最後のメドレーの3曲。冒頭はGolden Slumbersの"Once there was a way to get back homeward"という切ない歌いだしで始まる。いよいよ、終わりの始まりだ。。。

続いて「2曲目」で"Boy, you're gonna carry that weight. Carry that weight, a long time"とPaulが歌う。このWeightとは一体なんだったのか。Johnが事故の為レコーディングに参加できなかったこの曲。WegihtはJohnに向けた「Beatlesを崩壊させた責任」か、あるいは解散の元凶とも言われている「オノヨーコ」か。複雑な思いをめぐらさざるを得ない。

そして、同アルバムの中でも力作の別の曲、「You Never Give Me Your Money」の1節がメドレー2曲目に再登場した後、メドレー最後のThe Endの演奏が高らかに鳴り響く。

Beatles全曲の中で、唯一のRingoのドラムソロが入る。その後JohnとGeorgeが互いにギターソロでぶつかり合う。メドレーのクライマックスを早く聴きたいという気持ちと、これで終わってほしくないという思いを見事に交錯させるサウンド。。。

最後、静かなメロディーに乗せて、"And in the end the love you take is equal to the love you make"という、Beatles流の告別の辞とも言える一節を美しいハーモニーで残して、このメドレー曲は終わる。

なぜに最後の曲が「The End」なのか。この、全員が解散に合意して作ったかのような最後。悲しみが込み上げてくる。。。

切なく、悲しみに満ちたAbbey Roadが発売された後、Beatlesの手を離れた先のアルバム「Get Back」は、アメリカ人プロデューサーのPhil Spectorの手を経て、「Let It Be」と名前を変えて発売される。最悪なレコーディングを蘇らせたとの評価もできるが、出来に納得しなかったPaulは憤慨し、またアルバムはマスコミにも酷評され、Get Backセッションのドキュメンタリーが発売される頃には、遂にPaulがBeatlesの脱退を表明した。

1970年末、Paulは残りの3人を相手取ってBeatlesの解散等を求める裁判訴訟を起こしている。

Beatlesの夢はここで終わったのだ。

そんな、夢の終わりを目に、耳に刻むこむ、悲しみに満ちた曲。

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ビートルズは、良いですね。
長田ドーム
2011/01/30 15:49

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